演劇は人が一番自分らしくいられる場所

ポーランドに住んでいた頃、
私が夢中になっていたワークを教えてくれていたのはレナ・ミレツカ。
もう80歳を過ぎる元女優さんです。

彼女はポーランド出身の世界的にも有名な演出家、グロトフスキの実験演劇時代の作品の
メイン女優でした。

あのグロトフスキの厳しいトレーニングをマスターしたすごい方。

グロトフスキがイタリアに行ってしまってからも、
彼女は彼のトレーニングを基本に、自分のワークを続け、
インドでもヨガや瞑想の修行をし、
今では若いアクターたちに、彼女のワークを指導しています。

参加者は、世界中から集まります。

レナのワークは、
普通に「演劇をしよう」と思う人には、????
となってしまうようです。
かなり儀式的なのです。
テーマも太陽のパワーとつながるワークでした。

でも彼女が教えてくれるのは、自分に対する愛。
儀式的と言っても、即興的にシーンをいつの間にか創り上げ、
その中で、自分を表現するという意味では、とても演劇的です。

「私は女優だった時、外の世界の人たちが怖かった。
みんな嘘だらけだった。
でも芝居をやっているとき、その中では皆、真実を見せていたから安心できた」
レナがある時そう言いました。

演じる=真実の自分
え、それこそ、偽物の自分じゃないの?と
すごく矛盾しているように聞こえると思います。

実際ドラマセラピーでも、
何かの役を演じることで、思いがけず本当の自分の気持ちが現れます。
普段の、いろんなしがらみのある「自分」から
距離を置くことができる、「他の役」は、
私たちに、実は「安心して本当の気持ちを表現させてくれる」のです。
たとえ「他の役」であったとしても、
それを演じるのは、「自分」なわけで、自分の思いが出てこないはずがないのです。

また、演じているその瞬間を切り取ってみると、
それは、
「今ここで」自分が表現しているものに、集中している状態です。
つまり、それこそが、レナのいう、「真実」だというのだと思います。

 

日常では、頭の中は、過去に行ったり、未来を心配したり。
でも例えばスポーツに集中したり、
歌を思い切り歌っているときなど、
余計なことは考えずに、自分の体と心が一体になっていることに
気づきませんか?
そのとき、私たちは、「真実の自分」にあるのかもしれません。

日々を生き生きと生きること。
これって意外に難しいことを、私たちはよく知っています。

レナのワークのようなものを受けると、
自分らしくいること、
そんな自分を愛することを、
身をもって体験できるのです。

あるワークセッション終了後、
レナは
「私に本当の姿を見せてくれてありがとう」
と私たちに言ってくれました。
あんなにも体と心が一体となって、充実していた時間を過ごせたのは、
出産の時くらい。

 

人は、ああいう時間を持たないと、
自分を忘れてしまうことがあるんじゃないかなと思います。
あの瞬間があるから、
自分のあり方がわかってくる、というのかな。

最近、「自分て一体誰なのかわからない」
と質問されたことがありますが、常識やしがらみに囚われていると、
私たちは、本当の自分を忘れてしまうんですよね。

レナのワークは、何時間続いても
「あっという間」に終わるような感覚がありました。

本当に、充実していて、幸福感に包まれてばかりでした。
あの時間を今でも時々恋しく思います。

 

いつか、レナのワークみたいなことを、私もできたら嬉しいなあ。。。

今日もお読みくださりありがとうございました。


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